| オルガン修理で味をしめて | |||||
| オルガンの修理で自信を持った私は 他の楽器も修理できるのではないかという錯覚に陥った。 まずはオルガンとほぼ同じ原理の鍵盤ハーモニカ。 壊れてもいないのに分解し、 予想通りオルガンと同じリード楽器であることを確認し、 納得してねじを締めた。 次はピアノ。 家にあったアップライトのピアノのペダルの上の蓋を開けてみた。 しかし太刀打ちできるものではないと気付き諦めた。 その次はフルート? ネジを2つ3つはずしてはみたが、 小学生の脳みそでメカをはずせることなどできない 複雑な造りに無理だと悟った。 よく言えば好奇心旺盛な私は その後楽器に限らず、壊れていないものでも とりあえず分解しようと試みた。 数年後それは、大事件をまねく。
吹奏楽部の部室であるフルート教本を見つける。 巻末にフルートの修理方法が載っているのだ。 修理という言葉にときめいた。 さらに読み進めていくと、悪魔の言葉が載っていた。 「さあ、楽器を分解してみよう。」 後先のことなど考えずに、手が動く。 もう、書いてあるがままにネジをすべてはずし、 フルートの原型の筒だけにした。 さあここからが勝負とばかりに今度は組み立て始めた。
私がその時分解した楽器は比較的複雑ではないものだったのが幸いして クロスして組み立てるところも上手くできた。 最後のネジ止めも上手くいった。 さすがラジオを1から組み立てたり、 風呂を作った祖父(本職はタクシーの運転手だった)の孫だと 根拠の無い自信が湧き上がってきたその時、 事件は起きた。 完成の確認のため吹いてみたところ、ドのシャープの音が出ない。 最後にバネを曲げてしまったのだ。 しまった、もう少しだったのに・・・。 と勘違いはまだ続く。 楽器屋さんに頼むしかない。 結局かかった修理代は5000円。 高校生にとってのこの額はやっと目を覚まさせてくれた。 その後「さあ、楽器を分解してみよう」などと書かれた教本には 2度と会えなかった。 あったはずの吹奏楽部の部室からも無くなったし、 その後人にフルートを教えるようになってからも 見当していた教本にもその言葉は載っていない。 夢でも見ていたのだろうか。
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